こんにちは、株式会社スノードームのムロヤ(@rmuroya)です。
ウェブサイトのUI改善やコンバージョン率改善にて、とりわけスマートフォンのような外部のノイズや干渉などの外部影響を受けやすいデバイスにおいては、「パッと見でわかる」「頭にスッと入ってくる」デザインが求められます。
人は、一瞬でもストレス感じたら、「やーめた」となる動物。
結果として、直帰や離脱につながったり、思ったように訴求できず、心を動かすこと(コンバージョン)ができません。
そのためには、一瞬一瞬の知覚を意識して設計していくことが重要です。
私は、UI改善の際に心がけていることがあります。(コンテンツ制作やプロダクトデザインなど広範に使えると思います)
それは、「ビールを3杯くらい飲んで少し酔っ払っている状態でも分かりやすいデザイン」にするということです。
「ビール3杯理論」と名付けて、仕事の場でつかっています。
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なぜビール3杯なのか
なぜビール3杯というアナロジーなのか。それは多くの人にとって体験したことのある状態であり、ユーザーの立場になってみてシミュレーションがしやすいからです。お客様に憑依しやすくなります。
(関連記事:マーケティング土台となる「消費者理解」習得の技法)
アルコールの影響で、人間の脳機能は低下します。
具体的には、判断力や、集中力や注意力といった思考に関するものや、視覚(眼球運動、視野)や触覚などの知覚が低下します。
ざっくりいえば、
「少しでも脳に負担がかかるものは、途端に分からなくってしまう」
のです。
そのため、ビールを3杯飲んだような状態でも「分かりやすい、読みやすい、使いやすい、見つけやすい、探しやすい」デザインが、真に分かりやすいデザインだと言えると考えています。
UI改善であれば、
- ボタンは大きくしよう
- 色は見せたいところだけ強調しよう
- 回りくどい表現はやめよう
- CTAのオファー文を見直そう
などのチェックリストを頭で思い浮かべやすくなります。
視線を惑わせないデザインにできたり、離脱を発生させないようなスムーズな動線設計ができたりします。
脳に負担をかけずに訴求、認知させられるクリエイティブを考えられます。
シンプルだから、チームの共通言語になりやすい
また、「ビール3杯」のようなわかりやすいデザインの方針は、組織全体としてのデザインへの脳内チェックリストとしてもパワフルに機能するなとこれまでの経験からも感じます。
※「インタフェースデザインの心理学」などの名著もありますが、「ビール3杯理論」はシンプルで使いやすく、グロースハックの現場でもよく使っています。
「ファインダビリティ」や「ビジビリティ」といった厳密な要素からチェックするのもよいですが、小難しいことを言うよりも「ビールを3杯くらい飲んで少し酔っ払っている状態でも分かりやすいデザイン」と伝えた方が腹落ちしやすいです。
だからか、具体的な施策に落とし込みやすいようでした(もちろんレベルにもよりますが)。
認知機能を衰えた状態でも、狙ったとおりに施策が機能するか、ということをシミュレーションしやすくなるからですね。
それによって、施策の立案につなげやすくなり、結果として施策の成功確度を高めることができます。
よくない例えは、よくない姿勢を生むと思う
また、たまにSNSなどで「脳死」というワードでわかりやすさを例えられているケースを見かけますが、お客様に対する尊重の姿勢が全くないと思います。顧客志向はどこにいったのでしょうか。
「刈り取り」とか「囲い込み」とか「投下」とか、こういう言葉はやめましょう。
皆さんはこのような言葉を使っていないと思いますが、もし使っている人をその場で見かけたら注意してあげてください。ありえないですよね。マジで。
その際は、ビール3杯理論の例えを教えてあげていただけると嬉しいです。
ご参考になれば幸いです。ぜひ職場でも使ってみてください。
深津(@fladdict)さんのマガジンに、私が書いた「ドヤ会」と「バイラル」、「ビール3杯理論」の記事をまとめていただいている。ありがたいです。 https://t.co/TanddQ0AUe
— 室谷良平(ムロヤ)@スノードーム (@rmuroya) February 11, 2018