マーケターのムロヤ(@rmuroya)です。
先日にこんなツイートをしたのですが、もうちょっとまとめてみたいと思い、書いてみました。
Webはリアルと違って限りない棚の空間がある。だから情報爆発でも届けられるような「検索と発見のデザイン」が要。この二大スキルはデジタルマーケターの必修科目だと思う。
検索はナビ、発見はセレンディティピィ。検索窓やカテゴリ構造、レコメンドアルゴリズムやランキングを攻略するのです。
— ムロヤ (@rmuroya) March 17, 2018
いまやInstagramなどで世界中の人ともつながれて、世界中のコンテンツも楽しめる時代。
一方で、情報との出会い(情報探索)についてきちんとデザインしておかないと、ユーザーがアプリやサイト内で必要な情報を見つけることが困難になります。
情報探索は、究極には「検索」と「発見」の二つに分けられると思います。探したいものがある能動的なアクションと、推薦を求める受動的なアクションです。「サーチ」と「セレンディテピィ」とも言いかえられそうです。
さらに、前者の「検索」はGoogle的世界、後者の「発見」はレコメンデーションが優れたサービスの代表格であるNetflix的世界とも言えるでしょう。
EC、不動産、旅行、ホテル、人材、動画サイトやメディアなど情報量の多いサイトであれば、この二つの「検索」と「発見」の出会いのデザインが、ユーザーにとって価値ある状態になれているかをこだわっていきたいところです。
ここをおろそかにしていると、せっかくサイト内に超絶良いコンテンツがあっても存在に気づかれません。逆に、こういうプラットフォームにコンテンツを載せている場合には、これらの構造をうまくハックすればリーチを爆伸びさせることもできるので、グロースを担うデジタルマーケター必須の知識だと思っています。
AmPmさんのこのアプローチは象徴的ですね。
ミュージシャンもこういう時代に>GitHubで公開されているコードやAPIなどを検証し、そこで得た仮説をもとにプロモーション。AmPm、音楽も個人的に好み。/知名度ゼロでいきなり世界を獲った覆面ユニットの「ヒットの方程式」(柴那典) https://t.co/mZXPUL361a
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) October 20, 2017
Netflixのアルゴリズムについてはこちらの記事をどうぞ。
【集中連載】現地で見たNetflix “最強” の理由(1)ユーザーを1300のクラスタに分類するレコメンドエンジン
情報探索のコストをなるべく減らし、簡単に出会える設計を
「探索」と「発見」をもう少し分解すると、それぞれ以下のような方法があります。
探索
目的買いのような探索行動(「どこだ、どこだ」のモード。男性的なショッピングみたいな行動)なので、見つけたいものが見つけやすい探しやすいようなサイト構造設計であったり、絞り込み探索の機能などがあります。サイトの訪問者に必要なコンテンツを素早く見つけてもらうために重要です。目的が明快なので、「ナビゲーション」もこちらに分類しています。
ある条件をもとに探索するような不動産、旅行、ホテル、人材などの商材ではとくに重要ですね。
①検索窓(クエリープロセス型)
いわゆる検索エンジン型です。フリーワード検索など。
②ナビゲーション
内部リンク(導線)
さまざまな切り口の一覧、カテゴリ(メイン、サブ)、タグといった情報分類
深い階層への絞り込み
上階層、横階層、ななめ階層への移動ディレクトリ構造(大、中、小)
③ソート(一覧の並び替え)
ある切り口や要素に応じて重要度や掲載順位ロジックを決める
新着順、高い順、低い順
④あいまいな検索の目的をはっきりさせてあげられる情報の提示
(「もしかして、こういうの探してる?」のサジェストの提示)
(蛇足ですが、ディレクトリ登録型の検索サービスが懐かしいですね。。。)
発見
「なんかないかなー」という態度での情報探索で、探したいものがまだ決まっていない状態です。なので、ニーズを喚起させたり顕在化させたり気づかせること、出会わせることが大事です。また、思考停止でも出会える状態が脳の負担が少ないので、サービスへの没頭感(ハマる状態)も生まれると思います。
こちらはコンテンツを楽しむような動画サイトや漫画アプリ、音楽のストリーミングサービス、ウェブメディア、ニュースサイトで重要ですね。
①ランキング
閲覧数
評価の高い
人気のカテゴリ
人気のタグ
人気検索ワード
人気急上昇など
ランキングは、ノイズを避けて探せるから楽な探索行動であり、「みんなが何選んでいるのかを知りたい」というニーズにも応えられるものです。
②レコメンド
運営側からのレコメンド(おすすめ、推奨、イチオシ特集など)
行動データや商品データなどからのレコメンド(いわゆる機械学習系)
レコメンドはうまくいけば「なんで私の好きなツボをおさえてくるの…」と感動体験をさせられるので、継続利用が事業のポイントとなる場合にはこだわりまくっていきたいところです。
③診断(有効探索領域の確定化)よくあるチャート型の診断ツール
Tinderのようなパラパラ読み探し(ザッピングx機会学習による最適化)もある種「嗜好性の仕分けの入力データから学習し、レコメンドにつなげる」ものなので該当しそうです。
また、人は一気に大量の情報を提示されると「えっと…」と思考停止しやすいので、検索結果もレコメンド結果も、パっと見てパっと離脱されてしまうような提示にならないように注意です。あれもこれもと伝えたら、結局は何も伝わりませんので。
時代によって、情報提示の求められるカタチは揺れ動く
市場に流通している情報の量と質によって、求められる提示のされ方は異なります。流通しているコンテンツのS/N比や、流通構造の力関係などによってもユーザーニーズは変わっていきます。
ある状態では「バーティカルなキュレーションサイト」や「比較サイト」「メタサーチ」が求められたり、ある状態では「プロによる推薦」「インフルエンサーによる推薦」「信頼する知人からの紹介」など、求められる情報の提示のされ方は変わってきます。
今はどのフェーズで、消費者からはどのような方法が求められているかを察知して、検索と発見を科学して、どこよりも優れたサービス体験を提供できるようにこだわりたいですね。