2022/10/3 SNS検索の未来について更新しました。
Googleの検索回数は年間2兆回とも言われており、「検索といえばGoogle」のSEOマーケターでも思ってきているのは「SNS検索」が当たり前の消費者行動になっているということ。
SEO村に激震が走ったGENKING氏の記事は記憶に新しいです。
「Googleで検索すると文字が出てくるし、(検索結果は)SEO対策されている。あとはスポンサー(広告)とかが上がってきて…ネットってリアルじゃない。Instagramは検索することで言葉より画像が表示される」。
そこで、SEOマーケターには馴染みが薄い「SNS検索」について、気になったので色々まとめてみました。
・Twitter検索
・Instagram検索
・LINE検索
などを取り上げています。
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SNS検索に関する調査データ
SNSを使う目的として、情報収集が一番多いです。下記の図はインテージの調査より。
ここはGoogleとも同じですね。検索のメイン動機は情報収集なので。
出展:https://www.intage.co.jp/gallery/sns2017/
SNS検索の代名詞、ハッシュタグ検索についてはどうでしょう。
DIGIDAYの記事によると、日本のInstagramユーザーのハッシュタグ検索回数は、グローバル平均の3倍近いとのこと。
栗山:最近はググるよりもタグる人が増えています。日本のInstagramユーザーのハッシュタグ検索回数は、グローバル平均の3倍にも上ります。実際、我々の調査でも、Instagramで検索してから、WEBサイトでより詳しく調べるなど、次のアクションを起こすユーザーが増えていることがわかっています。
出典:https://digiday.jp/brands/dentsudigital-kobayashi-kondo-facebook-kuriyama/
こちらは電通総研メディアイノベーション研究部の調査より、図の一部を引用。
ここがSNS検索の特性を表していると思うのですが、10代女性のおいては、ファッションのトレンドや、芸能人・著名人の情報検索では、検索サイトよりもSNS検索の方がよく使われているようです。
出典:SNSの利用実態(MEDIA INNOVATION LAB)
ここからわかるSNS検索の特性
この状況は、SNSに関する書籍『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』の本の一節の言葉を借りると、人々の可視化されたライフスタイルやインタレストの集積とも表現できる情報ソースになっている、ということです。
旅行やコスメやイベントなど、商品購入前に個人のリアルの感想、評判を調べたりしていますよね。Google検索の前に、SNS検索されるようになってきているのです。
マーケティングのタッチポイントとしても、SNS検索の重要度が高まっていることがここからわかります。
SNS検索のされ方の種類
ここは周知と思いますが、思考の整理がてら書きます。
1.特定のアカウントを見つけたい
SEOで言う「ナビゲーションクエリ(※)」です。
※「amazon」「ゾゾ」「ようつべ」みたいなサイト名をキーワードを入れこむ検索ですね。
検索サイトでは、サイトなのに対して、SNSではアカウントが検索対象になっている違いの程度です。
このアカウント検索のユニークなユースケースはこちらでしょうか。
SNSで初恋の人を検索。見つけられたら再会する? #女子のホンネ
他に元彼、仕事仲間、クラスメイトも検索されているでしょう。
また、最近話題のSNS採用の文脈においても、TwitterやLinkedin上のプラットフォームで、プロフィール文などから「誰かいい人いないかなー」と母集団のリサーチにも活用が進むでしょう。
アカウント検索時で見つけされやすくする工夫
いわゆるSNSアカウントとしてのSEOとしては、
・アカウント名が英語表記の場合、カタカナ表記も加えて「表記揺れ」に対応できるようにする
・テーマやジャンル検索に引っかかりやすいように、トピックキーワードを含めておく(コスメブランドなら「コスメ」など)
など、色々あるかと思います。
身バレ対策として、逆SEOの技術進化も進んでいますね笑
・ツイッターで身バレし特定されるのか調べてみました又特定しましたの意味は?類語とか
・Twitterで身バレしづらいサブ垢の作り方
2.ある特定の投稿を見つけたい
「地震だ!震源地どこだろう…」
「facebookが開けないぞ。ダウンしてんのかな…」
「今日の渋谷のハロウィン、どんな感じになってしまってるのかな…」
みたいな、その瞬間の状況を知りたい検索が代表的ですよね。
また、芸能人も当たり前に言うようになった「エゴサーチ」も代表格です。
デジタルマーケター目線のメリットとしては、Googleなどの検索サイトはインデックスされるまでに何日も時間がかかることがありますが、SNSは即座に検索可能になるので、リアルタイム検索のニーズに対応できることです。
したがって、テレビ番組などでトレンドになったことがわかれば、すぐにそのキーワードを含む投稿をしておくことで、SNS内の検索結果でユーザーに露出しやすくなるのです。ソーシャルメディアでのSEO版ですね。
他には、観光地、コスメ、スポーツとかフェスやコミケなどが代表的なケースかと。いわゆるイベントや祭り事。最近では、M-1グランプリが記憶に新しいです。
来年こそは……
最もツイートが多かったのは「和牛」! 「M-1グランプリ」のツイートを分析してみた – ねとらぼ https://t.co/lipq79jnDo @itm_nlab pic.twitter.com/fMeuzEBZaB
— ねとらぼ (@itm_nlab) December 6, 2018
あとは、この経験をした人を探している、口コミを知りたい、SNSで話題の〇〇を調べたい、とかの用途もですね。
こちらの記事にわかりやすくまとまっていますのでご参考にどうぞ。
“最旬”の情報を手に入れる「SNS検索のコツ」
SNSならではの検索
Twitterのサジェストを覗くと、これまたSNSならではの世界が広がっていました。
というように、上司に関するツイートを伺い知れます笑
関連して、Google検索では、このサジェスト検索が有名です。
他にも、感情やシチュエーションにまつわる検索も可能で、調べたい事柄に対して特徴量の高いキーワードで絞り込むこともできますね。
「辞めたい」
「草」
などなど。
あと、英語学習にも使えまして、使いたいフレーズがある場合に、ネイティブの方の投稿を覗いてみることで事例のストックに役立ちます。
タグるとググるの共通点
SEO村では馴染みが薄い「#タグる」の話です。
なお、ハッシュタグ検索のされ方は、Google検索にも似ているところがあるようです。
投稿ボリュームでの分類
例えば、SEOのキーワードの分類には、検索ボリュームの軸では
- ビッグワード
- ミドルワード
- スモールワード(ロングテールワード)
があります。
ハッシュタグでも同様に「ビッグタグ」とか「ミドルタグ」と呼ばれたりすることもあるそうです。
「Instagramの人気投稿アルゴリズムを徹底分析! ライスカレー製作所が語るアカウント運用のポイント」の記事でも、
企業のInstagramアカウントでよくやってしまうのが、いわゆる「ビッグタグ」と呼ばれる、もの凄い投稿枚数が多いハッシュタグを投稿につけて、そこで人気投稿にピックアップされようとしてしまうこと。SEOで検索数が多いキーワードの検索順位を一位にしようとすることと同じく、非常に難易度が高いのでおすすめしません。
そこで企業のアカウントが個人の投稿に勝つためにどう戦っていくか、いわゆる「ミドルタグ」と呼ばれる、投稿件数も検索ボリュームもそれなりにあるハッシュタグ、そこで人気投稿に載せることを狙っていくべきです。
と触れられています。
Instagramの場合は、Twitterと比べて拡散がされづらい設計になっているため、リーチを伸ばすにはハッシュタグの選定が重要です。
ビッグタグは競合が多い故に上位表示が難しいので、まずは自分が勝てる土俵(ハッシュタグ)を選んで、小さくてもナンバーワンを狙うのが重要ですね。
探索内容での分類
検索キーワードの内容の軸では、Google検索で有名な
- インフォメーションクエリ
- ナビゲーションクエリ
- トランザクションクエリ
の分類についても、同様なものがあるようです。
ここはTwitterやインスタのプラットフォームによっても色々な切り口の軸はあるでしょうが、
- 対象物(例: #スタバ)
- つながり(例: #写真好きと繋がりたい)
- キャンペーン(例: #ポカリのまなきゃ)
- 意見(例: #MeToo)
と分類できるでしょうか。
また、こういう言葉の独自化も面白い工夫です。
Yuiさんのハッシュタグは、英語、カタカナなど、いろんな表記で細かく入れるなど、工夫されています。また、「ぷぃメイク」という独自のハッシュタグを作ることで、ファンの子が思わずそのハッシュタグをつけて投稿したくなる雰囲気をつくっています。
出典:https://toyokeizai.net/articles/-/179304?page=2
といった感じで、ハッシュタグは情報整理(コンテンツの分類)のみならず、鎖(投稿をつなぐチェーン)の役割を持っているのがユニークなポイントです。
ハッシュタグ検索に最適化できるようなツールも多数リリースされておりますので、色々試してみてはと思います。
https://hashtag-ai.buzzspreader.com/
SEO担当者向けのTwitter検索術
SEO担当者なら、アルゴリズム変動が起こった時には、信頼できるアカウントの発信内容を集めて拾うようにすると楽チンです。
国内なら
@tsujさん
@ossan_miniさん
などなどを「from」演算子で拾って、変動があった前後を「since/until」で期間を絞り込むと見つけやすいかもしれません。
よく使うような検索は、毎回この画面で入力するのが面倒なので、よく使う検索パターンの演算子をメモっておくと良いと思います。
海外勢なら、おおきさんがご紹介されているこちらキーワードと組み合わせるともっと楽チンになります。
海外SEO勢が変動について何か言う時大体こんな単語使うのでこれで検索するとヒントが見つかる事がある。
・ranking
・serps (検索結果)
・dropped down (急下降)
・jumped up (急上昇)
・fluctuation(変動)
・change (変動)
・algorithm
・update
・shuffle (変動)
・movement (変動)— おおき/SEO/デジタルマーケティング (@ossan_mini) May 26, 2018
ちなみに、IFTTT(イフト)と呼ばれるWebサービス間を連携できるWebサービスがあるのですが、これを活用してTwitter検索のQOLが向上できます。スプレッドシートやChatWorkなんかと連携して、ブランド名など特定条件を満たすツイートを抽出して通知を送るとかです。
これは情報収集が捗りそう。どんどん自動化したい。。
ツイッターにて特定ユーザーが特定ワードをツイートしたら通知が来るようにしてみた【IFTTT】 – みたにぃのあれそれ https://t.co/SmZPBOdHMY
— 室谷良平(ムロヤ)@スノードーム (@rmuroya) July 8, 2018
SNS検索の未来
SNSの分散化に伴い、SNS検索の分散化へ
国内の二大SNS、Twitter、Instagramでいえば
Twitterでは引き続き「リアルタイム」「会話」がベースとなる。
地震や災害状況、テレビへのコメント、ニュースへのコメントなど、リアルタイムに吐露されるような投稿を検索したい場合に適したSNS。
Instagramはビジュアルが中心。ファッション、コスメ、インテリア、タレントやアーティストの写真など、目で見て楽しむ場所になっていくだろう。
近年では、音声や動画やライブなど、コンテンツ形式が多様化している。
SNSでの動画視聴が当たり前になってきたことで、動画で検索したいニーズが増えてきている。そこで台頭しているのがTikTokや、動画プラットフォームのYouTube。
コンテンツのジャンルにもよるが、Google検索からこれらのプラットフォームでの検索行動に流れてきている。
それでもGoogle検索の利便性の高さは変わらず、引き続き求人検索、物件検索、クレジットカード比較、人に言えない悩みの相談などはGoogleが優位。ナレッジ系はGoogleが残っていき、エンタメ系はSNSへと流れていくことが予想される。
プラットフォーマーの動き
プラットフォーマー側の施策では、以下が考えられる。
1)検索されやすい投稿をしてくれる発信者への報酬
具体的には、おすすめに載せて、フォロワー以外にも発信
且つ、収益化プログラムを強化し、発信量に応じて収益の還元
2)検索窓にサジェストワードを出す
TikTokでは検索ボタンを押すと、「あなたにおすすめ」と言う機能で、おすすめの検索キーワードを出している。
※TikTokの場合はレコメンドベースのアルゴリズムであるため、今のレコメンドで出される投稿になんとなく飽きてきた人向けに、検索機能での接点でこのような検索による新鮮な情報へのアクセスを提案していると思われる。
ビジネスの事業者側の動き
近年では、TikTokやYouTubeでも検索されるようになってきているため、ショートムービーの投稿を仕込んでいくといいだろう。
また、利用者の観点では、ホームページへの誘導(チラシ・ビラ・店内ポスターなどから)よりもSNSアカウントへの誘導をした方が利便性が高いこともある。店名でのGoogle検索を促すよりも、Instagramのアカウントに飛べるようにID名を記載したりQRコードで誘導する方法も普及していくだろう。
他の観点で言うと、ホームページのSEO(検索エンジン最適化)と同様の投稿の工夫が求められる。例えば、ブランド名や商品カテゴリ名を投稿のキャプションに入れることや(札幌のスープカレー店の〇〇です)、 SNS上での検索ニーズから逆算した投稿企画など。飲食店であれば動画映えしそうか知りたい、内観のリアルな様子を知りたい、どんな人が接客してくれるのか知りたい、など。
負の側面
SNS検索が当たり前にどんどんなってくると、検索結果の品質問題が考えられる。各SNSの検索機能は、Googleほどスパム対策が進化していないと思われ、検索結果に並ぶ投稿の玉石混交の時期が続きそう。
また、検索機能がどんどん利用されるようになることで、インフルエンサーのフォロワー数の多さに関係なく情報を届けられる経路にもなるため、botによる偽のレビュー投稿生成など、ステマが起きる懸念もある。Google同様にイタチゴッコになることが想定される。
利用者側で気をつけるポイントとしては、「誰が発信しているか」の信頼できる情報源かの確認も必要だろう。
※投稿に付いたいいね数の多さも投稿の質を見極める指標にはなるが、こちらもbotでいいねは偽装できるため
とはいえ、検索の重要性は変わらない
レコメンドの技術進化で、SEOはやたらと死んだと言われがちですが、普遍的なサーチの重要性は変わりません。
LINEもSearchのプロダクトを発表し、SNS検索はさらに盛り上がりを見せています。
LINE検索リリースされとる。
・ニュースからアカウントからショッピング導線までバリエーションがすごい
・トレンドとかのコト検索、人名検索のクエリ獲っていきそうな予感
・検索窓の色が気づきにくいのがもったいない。ギラつかないようにしてるのかな pic.twitter.com/jxyMcYstJu— 室谷良平(ムロヤ)@スノードーム (@rmuroya) August 15, 2019
情報量が爆発すれば、必ず活躍するのが検索技術です。
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