「まず何から始めたらいいかわからない」
「やり方がわからない」
「データをどう読んだらいいかわからない」
Google Analyticsは無料で簡単に使えるツールですが、機能の多さに圧倒される人は少なくないと思います。
この記事の前提を共有しておくと、
・この記事の対象はブロガーやアフィリエイター、小さいサイトの運営者向けです
・CVの設定とかデータ収集の作業は扱いません
・カスタムレポートやカスタムセグメント、コンテンツグループは取り扱いません
です。
ちょっとだけ触ったことはあるけど、イマイチ活用しきっている感じがしない方向けに紹介していきます。
まずインストールする思考法
アクセス解析の目的は「ユーザーのことをもっと理解して、マーケティングに活用すること」です。
Google Analyticsの公式にもあるとおり、「あなたの顧客を知る。」です。
(引用 https://marketingplatform.google.com/about/analytics/)
さらに分解すると、アクセス解析ポイントは次の2つだと思っています。
1.アウトプットにつながるインプットを意識する
これは、言いかえれば、ユーザー行動の明らかにして、アクションにつなげる示唆を得ることです。
「インプットありきのインプット」と「アウトプットありきのインプット」では、数字を見る解像度が異なるはずです。
アクセス解析を行う<そもそもの目的>として、
「アフィリエイトの売り上げをもっと増やしたい」
「Google AdSenseの収益を増やしたい」
「問い合わせの数を増やしたい」
といったものがあるはずです。
そのために、アクセス解析とビジネスロジックとを必ず結びつけて、示唆を得ましょう。
「改善インパクトの大きいところはどこ?」
「今のサイトの大きな課題は何?」
「期待値と外れていそうなのはどこ?」
や、
「なぜこのページで離脱したんだろう?」
「どのチャネルからの流入がCVが多いのだろ?」
などの問いを立てていくのがスタートです。そこから、気づきを得られるような分析をしましょう。
CVRの高いページを探して、共通項を探してさらなる改善に活かしたり、良いページと悪いページを比較して、問題解決につなげるなどです。
ページビューを増やしたいのであれば、関連記事を充実させて回遊率を高めたり、直帰率を下げる取り組みを取ろう、とアクションを導き出せるようになります。
2.「アクセス解析の沼」に気をつける
大量のデータは海であり、溺れやすいものです。
一方、アクセス解析は沼です。底なし沼です。解析とか分析が好きな人ならなおさら簡単にハマってしまう沼です。
1時間は余裕で時間を過ごせてしまう危ないヤツなので、必ず「仮説ありきで分析する」ことを念頭に置いて、管理画面から数字を読んでいきましょう。仮説ありきです。
ただ眺めているだけでは、時は過ぎ去るだけ。数字をどう解釈するか、数字を見てどう行動につなげるかに思考エネルギーを使うことです。
そのためにも、目的を持って解析に臨みましょう。
例えば、PV数を増やしたいメディアサイトであれば、「UU、PV、セッション数」といった指標がメインになるでしょうし、CV数を増やしたいリード獲得系サイトであれば、フォーム遷移率やCVRといったファネル系の「率」の指標を重要視するとよいでしょう。
また、それらの中間指標として回遊系指標があり、
・離脱率
・セッション開始数
・平均滞在時間
・ページ/セッション
などがあると思います。
なお、PVアップのためのKPI分解については、こちらの記事に詳しく書かれています。アドセンス収益を上げる打ち手が見つからない方は、ぜひ読んでみてください。
ぺージビュー数を増やすために、追いかけるべきKPIは
・訪問数
・ユニークユーザー数
・訪問頻度
・回遊率
・直帰率の5つを抑えれば大丈夫ということになります。
GA活用のポイント「健康診断」と「効果検証」
活用のポイントとして、「健康診断」と「効果検証」の2つに分けられると思います。
日々の健康診断はよくある指標で十分
健康診断は「体温、血圧、脈、身長、体重」などの項目をまず調べるもので、いきなり精密検査でCTスキャンは行いませんよね。
それとアクセス解析も同じで、まずは主要な指標を確認しましょう。
病気の早期発見→早期治療が重要なように、アクセス解析ににおいても日々の重要なパフォーマンス変化に目を尖らせて、直帰率が急激に悪化しているなどの悪い兆候が見られたらすぐに問題解決を考え、SNS経由の流入が増えているなどの良い兆候が見られているならもっと良くできるように変化に対応していきます。
お客さんの像を知る
まず確認したい指標の代表例はこちらです。
・PCとスマホの割合はどのくらいか
スマホが9割以上を占めるのであれば、スマホ向けのUIに気をつけるべきとわかります。
「ユーザー>モバイル>概要」で「デバイスカテゴリ」が確認できます。
・流入が多いディレクトリやページはどこか
お客さんが多く訪れているページはどこかがわかることで、改善インパクトが高い箇所を発見しやすくなります。
・流入の多い集客チャネルはどこか
と、書きましたが、それらは「概要」からパッと確認することができますので、目を通して見ると良いです。
コンバージョンファネルで分析軸を整理する
左メニューバーには「リアルタイム、ユーザー、集客、行動、コンバージョン」と5つの分析軸があります。
このメニューバーが初心者に厄介なのは、メニューを開くと大量にサブメニューがあること。
とはいえ、まずは「リアルタイム、ユーザー、集客、行動、コンバージョン」の5つを、「コンバージョンファネル」で整理すると格段に用途がわかりやすくなります。
コンバージョンファネルの図
まず、「リアルタイム」はその名の通り、リアルタイムでのアクセスの状況がわかるものなので単純です。
「ユーザー」は、サイトに訪れているのはどんな属性や特性があるのか(図中の黄色)
「集客」は、どの流入経路からサイトに訪れているのか(図中のピンク)
「行動」は、サイトの中をどう行動しているのか(図中の青)
「コンバージョン」は、どうやってコンバージョンされたのか(図中の青の三角形の一番下)
というように整理できます。
施策実施後の効果検証
2つある活用ポイントについて「健康診断」の次は「効果検証」です。
効果検証の際には、施策がうまくいったかどうかを指標から判断していきます。この辺りはアクセス解析の本論とは逸れるので軽い説明に留めますが、メインKPIとサブKPIに分けて検証すると良いです。
例えば、アフィリエイトサイトでとあるリストページのUI改善を図った場合、目的(≒KGI)がCV数のアップだとすると、
メインKPI:CVR
サブKPI:詳細ページ遷移率、ページ/セッション、リストページの直帰率や離脱率
になるかもしれません。
施策によってユーザー行動がどう変化するか、その変化を指標に落とし込むと何が該当するか、の順で思考していくと沼にハマりにくいです。
また、良かったか悪かったかを検証するにも、同一条件化で比較するよう「Apple to Apple」という考え方も覚えておきましょう。
使える分析例
ランディングページで訪問の多いページ X 直帰率
せっかく流入の多いページなのに、最初のページだけを見てすぐ帰ってしまっているページを特定しましょう。こういうページは改善のしがいが多いので、宝の宝庫です。
直帰率は英語で「Bounce Rate」。bounceの単語のとおり、バスケットボールが地面から跳ね返ってくるイメージですね。
直帰率が低いコンテンツ群と比較分析をするのも良いですし、示唆を得られた後は、もっとサイトに潜ってもらえるような回遊導線を設計されるとよいです。
どこで離脱しているか
離脱して欲しくないページで離脱が多ければ、解決していく必要があります。
UUとCVの2軸で分析
コンテンツマーケでよく使える分析です。
UU多xCV少の象限に位置するコンテンツであれば、CVを増やすためにCVRを高める施策をやってみたり、UU少xCV多の象限に位置するコンテンツであれば、そのCVの強さを活かすためにそのページへの流入を増やすために回遊導線を増やす施策をするなど、打ち手を発想しやすくなる万能的なフレームワークです。
Google Analyticsを使いこなせるようになると…
Google Analyticsは世界中の企業でも導入されているツールであるため、使いこなすことができればどこでも活躍できます。
さらに、マーケターはもちろん、デザイナーであれば、データに基づいた課題発見やデザインの提案にもつながりますし、コンバージョン改善やSEO施策の効果検証の際にも、多面的な指標からの検証が可能になって、得られる示唆も爆増させることができます。
GAを使いこなせればどんな職場でも重宝されるため、GAとはWeb業界で市場価値を上げられる普遍的なスキルだと思います。
GAをどんどん使いこなしていくために、まず好き勝手に実験できるサイトを持つことを強くオススメします。好き勝手に設定できれば、試してみたい新機能なども取り入れやすくなります。
サイトを持つといっても、なにもレンタルサーバーを借りたりドメインを取得する必要なんてなく、はてなブログなどを開設して、GAのアカウントを発行して設定すればよいだけです。クイック&ダーティーに、まずはブログで十分だと思います。
詳細な設定手順は、ググってみるとはてなブログにGoogle アナリティクスを導入する記事もありますので、参考にされてみてください。
以下に、もっとGAについて学びたい人に向けて、オススメの学習キットをまとめてみました。お役に立てれば嬉しいです。
参考)学習キット
ウェブ記事から学ぶならこちら
書籍はこちら
基本は小川卓さんの書籍と逆引き辞典で十分ですが、こちらの本もオススメしておきます。
・データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標
「ジェフ・ベゾスが愛読!」の帯に惹かれて購入したんですが、超良書です。
・Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法 (THE LEAN SERIES)
ビジネスモデル別に、アクセス解析の勘所や肝が解説されています。こちらも超良書です。
・ウェブ解析力 ROI(投資対効果)を最大化するアクセス解析の実践的ノウハウ90
上記2つとは毛色が変わりますが、こちらは実践的ノウハウが90つ紹介されており、とっつきやすい本です。敬遠しがちな人はまずこちらから読んでみて、馴染んでいくと良いでしょう。