「デジタルマーケターこそアルゴリズムに向き合うべし」。
情報流通の理を知る。フィードやSERPsでのコンテンツの表示のされ方のアルゴリズムを知る。それと同時にユーザーが欲しがっているコンテンツを知る。コンテンツをユーザーに届けるためにも、情報流通の理を知る。
— 室谷良平(ムロヤ)@スノードーム (@rmuroya) March 18, 2018
受け手のことを考えていない独りよがりな投稿をしても、誰の目にも触れることはなく、bitの海に沈んでゆくだけ。
Googleの検索結果や、インスタのフィード、Youtubeの関連動画など、多くのプラットフォームはアルゴリズムによって表示順が制御されています。
SNSでコンテンツを多くの人たちに届けたいのならば、コンテンツをユーザーが喜んでもらえるように製作することはもちろん、そのコンテンツを運んでくれているプラットフォームのアルゴリズムにもっと本気で向き合う必要があります。
この記事では、「どうやってアルゴリズムを分析しているのか」と聞かれることが最近多くなったので、マーケターでも実践できるアルゴリズムの分析方法について書いてみました。
アルゴリズムに乗ることは、巨人の肩に乗ること。上手に乗っかっていきましょう。
日々変動するアルゴリズムに振り回されないためにも、本質的な価値提供のためにはどう取り組んだら良いか、といったヒントも見えてくるはずです。
予言しますが、これからのメディアはアルゴリズムによる情報最適化に加えてそういういったポイントによる刺激によってユーザー行動を適切にコントロールする時代になっていくと思います
— 二匹目のペンギン (@pengin_two) May 11, 2017
いまさらメルカリで物を売ってみたのですが、10品中9品売れました。あの膨大な出品数を機会学習でマッチングを最適化しているんですかね。メルカリ、グノシー、クラシルのどれも、メディア事業からメディアの皮を被ったアルゴリズム事業にシフトし、水面下の戦いになってるから、もう模倣できない。
— ミヤサッカーバーグ (@miyasuckerberg) August 24, 2017
メディアのアルゴリズム分析のオススメ方法
以下のようなポイントから、プラットフォームの力学の理解に努めています。そんなにゴリゴリとプログラミングを駆使するような手法を使わなくても、ある程度の構造は読み解けます。
- ビジネスモデル特有の売上方程式の変数
- 行動誘発のアーキテクチャ
- 仕様変更の流れ
ここから、メディアの思惑が垣間見れるため、得られた示唆から仮説を立て、コンテンツを投下し、検証していきます。
順に詳細について解説します。
ビジネスモデル特有の売上方程式の変数
媒体側の売上方程式、つまり「課金形態」や「広告主への媒体価値」を見ることでもわかることは多いです。
媒体側は売上を最大化するには、どのような変数を上げると良いのかを想像してみると、打開策が見えてきます。
メタサーチや送客型アフィリエイトのビジネスモデルであれば、CPCの高いクリックを増やそうとするでしょうし、Airbnbといった在庫の鮮度があるようなマッチング手数料徴収型であれば、稼働率の高い「いま売れるもの」をリストの上位に載せるインセンティブが働くものです。
「この変数を上げたいのだな」と分かれば、それに関連して定められたルールは厳守する必要がありますし、フォーカスするポイントが見つかります。
経験豊富な人にとっては「まあそうなるよね」のオチが多いとは思いますが、打ち手を整理するのに使えます。
行動誘発のアーキテクチャ
平たくいうと、どういう仕掛けで売上発生まで導いているのかの、力学の働き方を分析するようなものです。モメンタム的なことでもあります。
これは、具体的にはサイト構造や、UI、機能特性から垣間見れます。
ランキングですとか、どういう導線設計なのか、どういう行動に導こうとしているのか、どこを目立たせて引き立たせているのか、情報流通をどう最適化しているのかを見るのです。
送客型であれば、リストページからポゴスティッキングをさせて、リストページからのクリック数を稼ごうとしているのか、など。
こういった機能・構造から「媒体の思惑と癖」を見抜けるため、どう乗っかるかのグロースが捗ります。
仕様変更の流れ
プラットフォームにとっての仕様とは、国家にとっての憲法や法律みたいなものです。
仕様からは、どのような思想のもと、どのような行動を促進し、どのような行動をアウトとしているのかから、どういう力学やコンテンツを集めようとしているのかが読み解けます。
より平たく言うと、プラットフォームが今欲しがっているコンテンツ、これから重要視するようなコンテンツを上手に提供できれば、オーガニックでリーチを伸ばしやすいということです。
いつぞやのfacebookの動画がそれで、動画コンテンツを集めて滞在時間を伸ばすことで媒体価値を向上させられますし、オーガニックの動画再生に差し込む動画広告を売れるようにもなります。そのため、動画コンテンツが明らかにリーチを稼ぎやすい頃がありました。
Google検索であれば、「ナレッジパネル」というCTRの高い枠を提供することで、世界中のファクト情報を集めることに成功しています。Googleからの自然検索トラフィックを求める事業者に、せっせとエンティティを形成してもらえるからです。今ではそれらのコンテンツが音声検索でも活躍してますね。
オーガニックの投稿数を増やすインセンティブ設計に上手に乗っかるのが得策です。
その他
こちらは、モノ好きな方はどうぞ。
・その会社が取得している特許や、論文を見る
・開発者用サイトや、GitHub等で公開されているAPIの仕様を見て、特徴量を掴む。
Spotifyハックは、AmPm(アムパム)が有名ですね。
知名度ゼロからSpotifyをハックして世界デビュー!ポイント3つ
①自分の伝えたいコンテンツを磨く
②メディア別のアルゴリズムを分析
③そのメディアで絶対的な存在へ
Spotifyをハックした覆面アーティストAmPmのはなし(右脳×左脳のマーケティング)|有井誠|note(ノート) https://t.co/vJRmtPAzeO— 黒澤 友貴 (@KurosawaTomoki) April 14, 2018
アルゴリズムの分析記事
海外のマーケティング企業の分析ブログや、本家のTechブログを漁ると結構出てきます。
だいたいはこちらの記事ですみますが、
注目ではなく「対話」の時代へ。 マーケター必見、主要SNSのアルゴリズムまとめ
以下は物好きな人はどうぞ。ただし、アルゴリズムは生ものなので、掲載情報の鮮度にはお気をつけください。
Instagramのアルゴリズム
・Instagramの人気投稿アルゴリズムを徹底分析! ライスカレー製作所が語るアカウント運用のポイント
・InstagramのアルゴリズムをInstagramのチームが詳しく説明
・This is How the Instagram Algorithm Works in 2018
Twitterのアルゴリズム
・How the Twitter Timeline Works (and 6 Simple Tactics to Increase Your Reach)
・Using Deep Learning at Scale in Twitter’s Timelines
Tiktokや、Netflixなどのテックジャイアントの躍進で、アルゴリズムについてマーケターサイドからも関心が高まっているように感じます。
プラットフォームに乗っかる側の攻略の原則は「思想と思惑を知り、タッグを組む感覚で投稿する」こと。
アルゴリズムに向き合って、巨人の肩にうまく乗っかっていきましょう。